ある中国美人の波乱の半生(ふるさとを離れ深センへ)(その8)

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住み慣れた宿舎を立ち退く
ある中国美人の波乱の半生(その7) から続く >>

王は四川省の田舎から深セン;に出稼ぎに出たのはちょうど20歳の年だった。友達の誘いでカラオケクラブで働くようになり祐二と出会った。祐二は王を教育し香港企業のキャリアウーマンとして変身を遂げさせた。だがそこには様々な難関が待ちかまえていた。 ・・・ <<あらすじ>> 
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店を辞めた王は店が借りている宿舎をすぐに立ち退かなければならなかった。店の女が6人共同生活していた粗末な宿舎ではあるが、一人300元を月々の給料から差し引かれていた。深セン市内で一人で住むアパートは最低1000元(1万5千円)ほど必要だった。

王は祐二と深セン市内の不動産会社を訪れた。入り口の看板に高級マンションの高層ビルの写真と賃貸物件紹介が所狭しと張られていた。家賃は2DKで3000元ぐらいの値が付いていた。王はいつかはこんな高級マンションを賃貸ではなく購入したいと思っていたが、いまはそんなチラシに目もくれず700元の家賃、管理費、光熱費を含めて合計1000元ほどになる小さなアパートを契約した。今の宿舎からもさほど遠く無い距離にあった。

二人は不動産会社の女に案内され、深センの下町に立ち並ぶ古い6階建てのアパート群に歩いて向かった。アパートのビル群の狭い入り組んだ路地を通り、ある建物に入った。暗く薄汚い階段を5階まで上り北向き窓の部屋に案内された。家具もカーテンもない殺風景な部屋だった。

天井と壁も白いモルタルで塗られた6畳ほどの居間と、小さな流し台のついたキッチン、シャワー兼トイレの付いた物件だった。小さな窓から、路地を挟んだすぐ目の前のアパートの1室で男女の大きな話声が聞こえ、路地の壁の空間に響いていた。

祐二は不動産会社に家賃6ヶ月分4200元、敷金・権利金として2100元を支払った。そのほかベッド、マット・枕、冷蔵庫、ガスレンジ、衣装ロッカー、テーブル、ソファー、カーテンなど生活用品一式を揃えるために、合計12000元ほどの現金を王に渡した。つぎの日曜日、祐二は王の宿舎から彼女のわずかな所持品を運ぶのを手伝うため始めて王の宿舎に入った。

ほかの5人の女はすでにどこかに去って、ペットボトルや欠けた食器類など生活ゴミだけが散乱していた。王は小さなテレビと衣服、靴、化粧品などを旅行カバンと、手提げ袋に入れ、タクシーで運んだ。2回往復して荷物は部屋から無くなり、2段ベッドが3台だけコの字形にフロアに残された。王は5年の生活の跡が染みついた、がらんとした部屋をしばらく見渡していた。寂しさと、これからの生活を考えると、言い知れぬ不安がこみ上げ、その目は涙でいっぱいになった。


続く >>>




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