私は以前、中国の日系工場に在籍していたとき二社の顧客から取引停止を通告されました。その時の経験談をまとめてみます。
●A社の例
A社は、国内でOA機器を製造する有数の企業で、中国にも大きな工場をいくつも持っていました。
私の会社は、ある電子ユニットを納入していましたが、納入した製品に故意と思われる傷が付けられる事件が立て続けに起きました。
私の会社の社員が、何らかの不満を持っていて、出荷前、保管されている製品をカッターのようなもので斬りつけたのではないかと思われます。
これを機に、A社は、徐々に発注数量を減らしはじめ、半年後には発注を停止するとの宣言を受けてしまいました。
このときの教訓は、会社の体制がしっかりしていないと、品質にも影響が出て顧客の信頼を失うということです。企業は人なりで、日系企業では、特に現地スタッフの不満が蓄積しないような対策が必要と思われます。具体的には日本人総経理とスタッフのパイプ役を務める中国人副総経理を置くことも有効です。
給料面、労働条件面などの待遇にはとても気を遣います。そして一番いけないのは、日本人の考えを押しつけることです。パイプ役を通して、つねにスタッフや作業者がどのような不満を持っているかの情報をつかみ早めに手を打つことです。
●B社の例
B社は、車関係の製品を作っている会社です。私の会社の売上に占めるB社の比率は30%を占める月もある位、いいお客様でした。B社で発生した問題は、作業ミスによる品質問題でした。それにも増して問題だったのは、納入したロットと不良が混入したと予想される波及性の検証です。
作業記録から作業ミスを起こした作業者を特定し、市場で不良が混入しているロットを全数検査しました。ところが、それ以外のロットからも不良が検出され、結局納入品の全数検査を行うことになりました。作業の管理とその記録に不備があったのです。
これらの事が原因で、会社の信用を著しく無くし翌月から注文が来なくなりました。
ここで得られた教訓は、起こしたミスを隠そうとしたり、作業者や管理者が退職し、事実が非常に掴みづらいということです。そこで、日常の作業記録など事実を記録したものがとても重要となってきます。製造ロットと作業者、検査員の配置の記録、発生した不良の記録などです。
また作業ミスを起こさないようにするための工夫が要ります。加工、組立などの原理・原則をほとんど理解していない作業者は、時にとんでもない行動を起こすことが有ります。治具・工具の整備や、作業をチェックする工程検査員の配置、1時間おきにできあがり寸法を測定、記録するなどです。
日本人トップも一日2回以上、現場を回り、自分の目で作業の方法や作業者の行動をチェックすることもとても重要です。
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