「中国では製造業の品質管理の考え方が根付いていない面があるので、経験をつんだ日本人指導者への需要は高い。また、日本の団塊世代の方も(退職後に)自分がやってきた仕事を活かせる場が少ない事情もあって、『セカンドキャリア』を海外で要望する方も多くなってきた、と述べている。
だが、本当に『セカンドキャリア』を海外で生かせるかどうかは疑問を感じている。団塊の世代を中心とした中高年世代(経験をつんだ日本人指導者)は指導者として本当に成功するかどうか、以下の分析を試みた。
1.豊富な知識・実務経験
中国工場で働く中国人技術者や管理者は平均して30歳前半代と極めて若い。経験の差は歴然としており、団塊世代の豊富な知識や経験にはとてもかなわない。この点では中国人技術者や管理者が学ぶべき点は多い。
2.自己管理能力
日本人は仕事に対する取り組み方がまじめで努力家である。自己管理も良くでき、時間を守る、約束を守る、責任感も強い。仕事を完成させるためには努力を惜しまない。団塊世代は終身雇用制度のもと、こつこつと一つの技術を磨き上げ、自己を犠牲にしながら会社に貢献し、日本の経済発展を担ってきた。
社会制度、国民性の差は、日本人がいくら時間を守れと教えたからといって、簡単に修正できるものではない。違いを前提とした指導が必要になってくる。
3.組織管理能力
日本人はこの点になると弱さを露呈する。個人の能力を最大限発揮させながら企業は伸びてきたが、団塊世代が去った後の企業に残されたものはなにか?高い技能を持った後継人材が育たず、経験不足・技術力不足の若者が現場に溢れている。
このような状況を作り出した団塊世代が、中国などの外国で品質管理の指導者などとして成功するだろうか?
過去発展を遂げた日本と、現在の中国の置かれた環境はまったく異なっている。団塊の世代の極めて限られた時間の『セカンドキャリア』の中で、また、企業帰属意識の希薄で定着率の低い中国の若手人材に対して過去の知識や経験を伝承することは空しい努力に終わってしまう。
【企業にとって一番必要なものは?】
人材の出入りが激しい中国では、人に伝承した技術が残りにくい。また終身雇用制度が崩壊した日本でも事情は同じなのである。人に技術が蓄積されにくい企業では、企業体そのものにノウハウを残すことが重要になってくる。
企業にノウハウを残す仕組み「管理のシステム化」を行うことなのである。
◎人材システム・・・教育・人事管理・給与システム、採用システム
◎設計システム・・・設計工程管理、設計ツール、ノウハウ蓄積管理
◎生産システム・・・目標管理、生産工程管理、品質保証工程
管理システムを構築できるかどうかが、本当の意味で企業の力を強められるかどうかの分岐点なのである。
システム化とは、「ルールやツールの作成→その実行と記録→問題点の把握と対策→ルールへフィードバック」のサイクルを繰り返すPDCA活動を定着させることを言い、それに伴い企業が、またその中の人材も共に成長していくことができる。
団塊世代が去った後、企業にノウハウが蓄積され、有効に活用し続けられるかどうか、『セカンドキャリア』を海外で過ごす日本人技術者や管理者の真価が問われることになる。
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